妖魔04~聖域~
俺は立ち止まる。

「ハッキリしろ」

「え?」

「俺の顔色を伺わずに、食いたいなら食いたいでいいだろう」

「でも、一人で食べても」

消極的すぎて、若干、調子が狂う。

面倒くさい女だ。

「解った。俺は唐揚げを食う。お前も何か食え」

「本当ですか?」

「面倒だから、二度も言わせるな」

指弾のように金を弾いて、千鶴に渡した。

「はい、じゃあ、買ってきますね」

千鶴は商品を買いに行く。

やる事もなく、壁に背をもたれて待つ。

「よう、兄ちゃん」

傍にいるのは四十代の青いコートを着た男。

タバコの臭いが鼻につく。

それとは他に、もう一つ嫌な臭いが漂っている。

「最近、邪魔な人間によく会うな」

男から漂うのは退魔師の臭い。

いつでも戦闘できる準備は出来ている。

「俺も好きで男のお前に話しているわけじゃない。そこのところ、察して欲しいんだがな」

「何の目的がある?」

「そう急くなよ。俺からすれば、改革派とかどうでもいいんだ」

敵である事は間違いない。

だが、俺達の目的の邪魔をしようとしているわけでもなさそうだ。
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