妖魔04~聖域~
「出方を伺えと?」

「お前は上の者に従って動けばいい。上手くいく」

上層部が優秀であるならば、すでに行動を起こしてもいい。

本当に信じられるのか。

「解った」

長老のいう事もわかる。

一人で身勝手な行動をすれば、改革派にダメージがいきかねない。

ダメージを受けるどころか、改革派は知らぬフリをして逃れるだろうな。

それに新兵一人のために援軍を出すはずはない。

逆に面倒な者と決めて、始末にかかるかもしれない。

それを踏まえた上で暴れるならば良しというところか。

俺もバカじゃない。

組織の流れに淀みを作るような、逆賊になる気はない。

「全てを変えて見せる。里のためにな」

変えなければ改革派に選ばれた意味がない。

現状維持を貫く保守派は自分には向かない。

「威勢だけにならんことを祈っているぞ」

長老の家を出ると、気絶から蘇った燕がベンチで何かをしている。

「これを見ろ。水飴で卑猥な形を」

「抹殺!」

割り箸を扱いながら器用に遊んでいるのだが、本人の言うとおり人には見せることの出来ない形になっている。

それを隠すために、一口で口の中に頬張る。

「熱!」

味よりも、口の中には火傷するほどの痛みが走る。

「先ほど、職人に貰って遊んでたところだからな」

「先に言え!」

ローリング・クレイドルでマッハ回転しながらホールドに持ち込んで、羞恥心を煽る。

燕のスケパンが見えているが、いつものやり取りということで通行人は無視して通り過ぎていく。
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