妖魔04~聖域~
「お前はバカか!常識がないのか!」

「や、止めろ!今日はカボチャパンツなんだ!」

「平気で嘘を付くな!今も紅いパンツだろうが!」

馬鹿らしい言い争いだ。

実は、スケパンを開示している俺も常識はないのではないのだろうか?

カラスが鳴いて、あたりは夕焼けに染まっている。

「いい加減、面倒くさいことをさせるな」

「一日一回以上は面倒事をお前に押し付けるつもりでいるからな」

「一からやり直せ!」

攻撃するのを止めた。

「お前と今日でお別れだから、最後ぐらいは見逃してやる」

「最後か」

「俺とお前が同じ場所に飛ばされるとは限らない」

二人が一緒と決めたのは何処の誰か。

優秀な燕はランクの低い俺とは別の場所に飛ばされる。

「残念だ。私はお前が好きなんだがな」

「個人の気持ちなんか関係ない。じゃあな」

背中を向けて自分の家へと帰る。

燕がどんな顔をしていたのかは、黒く染まった世界で解らなかった。

これで、平和な日々も終わるという感慨深さが残る。

家に帰れば人間の姿の母親がいる。

父親は小さい時に他界している。

「改革派に選ばれたんだって」

母親は料理をしながら、俺に訊いてきた。

「ああ」

「何で教えてくれなかったの?」

「俺も今日知ったからな」

これは嘘だ。

先日、使者が手紙を持ってきた。
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