妖魔04~聖域~
「テメエ、馬鹿か?馬鹿なのか?いや、もう馬鹿決定だ」

ドメスティックバイオレンスという言葉がある。

普通の女になら当てはまるが、燕が別だ。

「剛毛だから嬉しいだろう?私はお前に見せて嬉しかった。うん、お互いに嬉しいということで納得しろ」

「この露出狂が!それで襲われるのはお前だぞ!」

幾ら馬鹿だからといって、燕は一応女だ。

痴女が現れたとあっては、襲いかかる男もいるはず。

「襲うのはお前しかいない」

「くそ、面倒くせえ」

相手をした事で、さらに腹が減る一方だった。

「こら、刃、飛鳥のパンツを取ったら駄目じゃないか」

洗濯物を庭に干そうと縁側に母親が立っている。

「そんなアホな話があるか。こいつが変態なだけだ」

「何を言う。さっき私から剥ぎ取っただろう。抵抗したらどうなるかわかってるのか?とかいう台詞を言ってたじゃないか。鼻息荒かったぞ」

「ぶっころーす!」

血管の何本かがイカれてしまい、燕の腹にジュエルキックを決めてDDTで落とす。

「く、私の赤ちゃんに何かあったらどうするんだ!」

縁側で横になってお腹を押さえているが、血は出てないし痛くもなさそうだ。

「ほう、誰の子だ?」

「私とお前の子供に決まっているだろう」

庭は母親が洗濯物を干しだしたので、邪魔にならないように縁側にいるわけだ。

「ボキャブラリーに欠けていることは言うんじゃねえ!」

「私はお前が好きだ。好きなだけ子供を産んでやるぞ」

燕に常識はない。

非常識の塊、カオスが集合して出来た女だ。

「面倒くせえ。付き合ってられるか。飯はもう残ってないのか?」

空腹で倒れてしまいそうだ。

洗濯物を干している母親は残念そうな顔をしている。
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