妖魔04~聖域~
「あるわよ。白いお米だけなら」

「それでいい」

ほぼ何も食べてない状態だったので、白い米だけでも非常に助かる。

「その代わり炊かないといけないんだけどね」

炊くのには時間がかかる。

今は思考をする時間も惜しい。

「そのまま食う」

「野生に溢れてるな。お前は人間よりも元の姿に戻ったほうがいいぞ」

「クタバレ」

感情のない声を上げながら、ナックルパートを顔面に打ち込む。

膝から落ちて、燕は真っ白な灰になった。

「邪魔者は落ちた。食おう」

無洗米でも何でもない米を台所で見つける。

「く、ナマに手を出す事になるとはな」

「うむ、ナマはいいぞ。違う世界にいるようだ」

「お前は薬でもやってるのか」

隣にいる燕は醤油をかけた豆腐を食っている。

「どこで手に入れた?」

「何だ、お前は生米で我慢するんだろう?私は生豆腐じゃないと我慢できないんだ」

「あっちむいてホイ」

指先を天井に向けると燕の首が上を向く。

視線が下を向いてない内に皿に乗っている豆腐を一口で食ってやる。

「ぐは!」

台所に口から豆腐を撒き散らす。

「残念だ。私はわさびなしのところを食っていたようだ」

「テメエ、ワザとわさびの部分を残しやがったな」
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