妖魔04~聖域~
豆腐の中身が全てわさびで出来ていたくらい、辛い味だ。

口と鼻に革命を起こしている。

「俺を地獄に陥れたいのか?」

「馬鹿な!お前を天にも昇れる気持ちにしてやりたいんだぞ?」

「お前は天に召されろ!」

食おうとしていた米を口の中に突っ込んでシェイクしてやる。

「もごもご。ごく、新鮮味が足らんがまあまあだな」

欠伸をしている時に見た口の中は何も残っていない。

「こいつ、何でもありか」

「そうだ。ヒロインは下着を穿かなくても許されるのだ。解ったか!」

「何を偉そうにしている。それより、早く帰らないと家を閉め出されるぞ」

外は夜の帳が下りている。

母親、夕方に洗濯物を干すのはどうかと思うぞ。

「おお、いい事言うな。家に帰れなくなったらお前の抱き枕になってやる」

「断る!」

俺が技をかけようとすれば、逃げるように家から出て行こうとする。

「ハハハハハ!後日会おう!」

「さっさと帰れ!」

背中を見せた燕の頭にスリッパを投げつけると、ストライクが決まったようだ。

しかし、傷一つなく家から出て行った。

「嵐のような女だ」

「何、燕は帰ったの?」

洗濯物を干し終えた母親が台所に戻ってきた。

「帰らした。あいつがいるとすぐハゲてしまいそうだ」

ニ年後には人間界に住むザビエルになりかねない。

「いいじゃない。燕はハゲた刃でも好きでいてくれるはずさ」

燕が俺の事を好きだろうが、性格が直らない限りは間違いは起こらないだろう。

パンツを平気で忘れる女だからな。
< 39 / 330 >

この作品をシェア

pagetop