妖魔04~聖域~
飯を食う事なく、自室に戻る。

畳の部屋に木製の机と布団と箪笥があるくらいだ。

特別な物はない。

「今日出るはずが、余計なことばかり起きて明日になっちまうとは」

途轍もなく面倒な話だ。

早く里から抜けて、任務を終わらせたかったんだがな。

だとしても、明日になれば出立する事が出来る。

余計な邪魔も入る事はないだろう。

体力の消耗が激しかったので、体が眠気だけで構成されてるくらい眠い。

「明日は早い、寝よう」

部屋の明かりを消して、俺は布団の中へと潜る。

唯一、居心地のいい場所だ。

目を瞑り、自然と眠りに付く事が出来た。


「いってえ」

夢を見ている。

子供の頃の夢。

「何だ?怪我をしたのか」

俺は燕と遊んでいて石に躓きこけて、膝に怪我を負った。

燕は傍によってくると怪我のある場所を舐める。

「そんなことで治るわけないだろ」

「治る。だって、私はお前のことが好きだからな」

「関係ない」

「あるさ。私はお前の怪我を治したいと思っている。だから、治る」

体も心もくすぐったくなる。

「よし、これで治った」

燕が舐め続けていたおかげなのか、本当に痛くなくなった。

しかし、舐めていたところを叩いたことにより、激痛が走る。

「余計なことすんじゃねえ!」

怪我のない足でアリキックを繰り出し、燕の脛を砕けさせる。

ろくでもない夢だ。

夢の中でも燕が出てくるなんて、燕の事が気になっているのか?

まさかな。
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