妖魔04~聖域~

出立の日

朝に鳴く鶏の声。

目覚めとしては悪くない。

だが、何時もと違う出来事によって最悪に成り下がる。

「おい」

「うーん、男前の声だ。私の夫になれ」

隣には裸の燕が横たわっている。

「二秒で目を開けろ。少しは罪が軽くなるぞ」

「何だ、私の布団に夜這いか?いい度胸だ。朝からでもマッスルドッキングをしてやるぞ」

目を開けて早々、馬鹿な事がよく言えるものだ。

「まずは立て」

「おお、朝から足腰の強い事をするんだな」

裸体の飛鳥を立たせると、技をかける姿勢を取る。

「もう一度寝ろ!」

延髄蹴りを決めると、燕はうつ伏せの状態で地面にたたきつけられた。

「朝から体力を使わせるな」

夢を見てる奴は放っておいて、台所に向う。

「朝から元気ね。将来が楽しみだわ」

台所では母親が朝食の用意をしていた。

「勝手に部屋に通すな」

鍵は閉まっていたはずなので、母親が通したとしか思えない。

「いいじゃない。燕と愛を育みな」

「面倒くせえ。今は燕に構ってる場合じゃないんだよ」

今日旅立つというのに、また足止めされてたまるか。

「ふふ、ふはははは!お前は私から逃れられない運命だ!」

「黙れ!」

背後の燕の腕を掴んで、台所から出たところの壁に投げつける。
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