妖魔04~聖域~
「秋野の事を知っているっていうのなら、行き道は解ってるんだな?」

「まあね」

「じゃあ、連れて行ってくれ」

面倒事を回避できるのならしておくべきだ。

「自分の力でいけばいいじゃない。君、一人で行動するの好きでしょ?」

「人間界に詳しいお前しか頼りに出来ない」

出てきて早々、人間の手を借りたくない。

出来れば、同類である冬狐に連れて行ってもらいたい。

「向こうに付いてからは自分の力で行動するのよ。アンタにずっと構っている暇はないから」

「わかっている」

渋々ながらにも了承を得る事が出来、簡単に目的地につけるようだ。

建物が続く世界を歩き続けると、多数の車が駐車している場所がある。

冬狐が言うには『ぱーきんぐえりあ』とかいう場所らしい。

お金を払わなければ、駐車が出来ないようだ。

停めるのにもお金がいるのには、驚いた。

冬狐がパーキングエリアの中に入ると、大きめの黒い車の扉を開けて中に入る。

「早く乗りなさい。待たないわよ」

「ああ」

逆側にも扉が付いているので引いて開けると、座席になっている。

後ろにも座席があって、五人くらいは乗れそうだ。

俺が扉を閉めると、冬狐は鍵穴に鍵を差込む。

車が重低音を上げて、震動し始めた。

「ちゃんとシートベルトして。しなかったらアンタに全額払ってもらうわよ」

横に素材の解らない薄皮の帯がある。

伸びたり縮んだり不思議なものだが、これで身の安全を守るらしい。

よく解らないまま、先に着いた金具を反対側にある穴に差し込むと、シートベルトによって体が締め付けられる。
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