妖魔04~聖域~
だが、状況が阻んでいる。

「資格を得ている者は他にもいるが?」

異様な気配をかもし出す。

「さっさとやってもらいたい事を言え」

だが、気にするほどでもない。

「長老に対して偉そうじゃな」

「余計な事を省きたいという心の現われだ」

「目上の者は丁重に扱うのが礼儀じゃ」

「ち、面倒くせえな」

命令には従うが、礼儀に従うのは面倒だ。

「何か言ったか?」

「何も。俺は何をすれば里から出られるようになる?」

里は東西南北に分かれており、俺は西地区に住んでいる。

木造の日本家屋がほとんどを占めており、現代の人間達が住むようなコンクリート状の物はない。

周囲は畑や田んぼに覆われているが、一つだけある広場は異質の存在感を出している。

四つの地区には長老がおり、里から外界へ出る入り口の暗号は長老しか知らない。

後は外界に出張した代表ぐらいか。

長老はどちらの組織にも属していない。

公平を計るためだというが、実際はどうだか。

東西南北あるので、改革派、保守派で八人の代表者が決まる。

そして、日本の各所へと散っていく。

「試練じゃ」

「はあ?そんな時間があるのか?」

今も人間達がのさばっているというのに、呑気に試練を受けている暇などあると思っているのか。

「あってもなくても、お前に資格があるかどうか再度確認するためじゃ」

「酷い変わりようだな。そこまで世界は険しくなったか」

資格を二度確認する程、荒れているとでもいうのか。

「お前如きが外に出た瞬間に蠢く闇に飲み込まれる」
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