妖魔04~聖域~
「俺がずっとお吟さんを見てておくよ」

「お前は本当に女好きアルなあ」

気変わりが早いのかもしれない。

しかし、四年も経ってずっと傍にいれば、気になる存在になってしまう。

「女というよりは、お吟さんだけ何だけどな」

「お前は人の女を好きになる性癖でもあるのかい?」

「そりゃ、偶然だよ。駄目だと思っていても好きになっちまったもんはしょうがない」

「丞は勝手な男だねえ」

「本当だな」

自分の気持ちは、何となく解っていた。

お吟さんがどう思っていようと、俺は隠すつもりはなかった。

「くくく、それが愛というものかね?」

「いきなり顔を見せんな」

顔の傍にラインの顔があり、驚きのあまり退いてしまう。

「君は彼女を守る対象の一部、それも大きな部分を占めている。そして、彼女は君にとっての活力である。見えないモノだが、表現を使うならば愛になるのかね」

「ああ、ラインの言うとおり、俺は彼女を好いている」

「しかし、君は耳が悪いのかね?研究は終わったといったのだよ。彼女の体を分解して調べようとか、コアが欲するなどという下衆な考えなどない。もちろん、標本にして楽しむなどというつまらない趣味もないがね」

頭を振りながら、失望の色を込めた声を出す。

「さっきの大男はどうなんだ?尋常な様子じゃなかったぞ」

「彼はチューニングに失敗したのだよ。言い方を代えれば、契約妖魔との契約が成立しなかったというところかね」

契約とはリスクを負うモノなのか。
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