妖魔０４～聖域～
巨体はリスクを負ってでも、契約妖魔との契約を果たしたかったのだろうか。

「そうなると、手術失敗はあるのか？」

「ないとは言わない。だが、望んでチューニングを受けたとすれば、後悔はないだろう」

理由はともあれ、研究所を見つけられたことには凄いと思う。

「彼は全てを棄てる覚悟で力を欲した。結果は全てを捨て去ることになったがね」

「リスクが伴うことを最初に言わなかったのか？」

「体をいじくるという時点で気付かない方が悪い。私は研究者であって医者ではない。全てを説明する義務はない」

ラインは敵でも味方でもなく、純粋に研究を楽しんでいるようであった。

「私は彼女に興味はない。施設を使いたければ好きにすればいい」

ラインは研究所に帰還した。

お吟さんはラインの背中を見つめていた。

「どうしたんだ？」

「んー、あのショタは面白い存在アルな」

「どういう、意味だよ？」

ラインという男子に興味を持ったのか。

「前々から気にはなっていたが、やっと見分けられたアル」

「前々から？」

「説明するのが面倒くさいアル。一ついえるのは、あいつは人間でも、妖魔でもないアル」

ならば何だというのか。

この世の者ではないというのならば、訊いても説明は出来ないだろう。

そして、お吟さんの力ですら時間がかかったという事。

何にせよ、危険である事には変わりない。
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