妖魔04~聖域~
「それで、契約妖魔の能力はどうなんだ?コアをいくつも所持できるわけだろ?」

「契約妖魔になるためには自分のコアのみにするか、コアの統合を行わなければならない」

要は一つにしろという事か。

「何故だ?」

「コアが複数である場合、能力を操る際に意識が分散して記憶が散らばったり障害が起こる可能性があるからだよ」

グループ処理されているから管理が簡単になるか。

「可能なのか?」

「可能でなければ、契約妖魔など生まれてはこない」

「便利な事を思いついた物だな」

「だが、複数の能力に対して魔力は分割されているという設定は残っているのだよ。それも、魔力の管理に繋がってくるわけだがね」

過去に美咲が言っていた。

コアを体内に入れると、コアの数分に対して魔力は振り分けられてしまう。

二個あれば、一つずつに五十というわけだ。

炎と水の能力があったとして、炎の五十を使ってしまえば、水しか使えなくなる。

水の五十を炎に流す事は出来ないという仕組みだな。

「一つにコアがまとめられているのに面倒だな」

「不可思議なところだがね」

まだ、魔力分配を一括にする方法は編み出されていないのか。

「じゃあ、コアの統合で意識も移す。普通の妖魔では不可能なんだろ?」

「意識というものは脳にある。意識をコアに移行するにはチューニングと同じく脳を弄らなければならない。そうする事で、脳にある組織をコアへと移行できる。だが、これは変鎖を行った状態でなければ行えない。異形のままで手術をした状態であると、人の脳と若干つくりが違う。コアに意識があったとしてもシンクロ出来ずに拒絶反応を起こすのだよ。変鎖をする事によって人の脳と同じ造形となり、シンクロを可能にする」

「じゃあ、契約妖魔になると本来の姿には戻れなくなるってことかよ?」
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