妖魔04~聖域~
瓶底眼鏡をポケットに入れて、広場へ向かう。

家から出ると、瓶底眼鏡をしたファッションセンスの欠片もない女がいる。

「どうだ?私の晴れ姿は」

眼鏡をかけただけで、他は微塵も変わっていない。

「どうでもいいが、何故それを持っている?」

「私は代表者だ。それも特別扱いのな」

胸を張りながらも自慢しているが、俺の胸がもたれるだけだった。

「古代コアか」

「今日からライバルだな」

俺の肩に置いた燕の手を払いのける。

「古代コアが二つあるわけないだろ。あのクソジジイが、試練を他人に課すのが好きなだけか」

だが、燕ならば不安要素に包まれていてもおかしくはない。

「大丈夫だ。私は行っても行かなくてもどっちでもいいんだ」

「はあ?」

意味がよく解らない。

「私は暗号を貰ったからな」

「はあああ!?」

「ライバルは嘘だ。私はお前の味方だぞ。古代コアは見つけてもお前にやるぞ」

俺よりも燕のほうが優秀だった事を思い出した。

確か、燕は過去に一度指令を受けた女だ。

だが、拒否して他の女に譲った。

指令を受けた者は、次の候補に指令を譲ることが出来る仕組みがある。

でも、譲る者がいるとは思えない。

一度、拒んだのにも関わらず、二度も保守派の指令を受けた者になるとは、余程の素質がない限りは不可能だ。

悪運が強いだけでは説明できない。
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