妖魔04~聖域~
「解った。その前にチューニングには成功したのかどうか、教えてくれ」

女性の声とは別に、不安で仕方がない。

「チューニングが成功したかどうかが気になるのかね?君が生きている証拠が全てを語っている」

「やはり、崩壊を起こすことはなかったんだな」

後は、契約妖魔との契約を果たすだけになった。

「基盤とチューニングとの相性が悪いという事は手術前に話したがね、実は基盤の中に組み込まれている物に邪魔が二つある。人間にはない大幅な年齢増加と妖魔しか使用出来ない術式がある」

「どちらも半妖魔にはない物なのか?」

「半妖といえど寿命は少し長いだけで、妖魔との差は歴然としている。術式も半妖が使う事は出来ない。それは君の体を調べて解った結果だよ」

イヴァンの時に龍姫から渡された札を使えたのは、魔力も術式も全て札に込められていたからだったのか。

ラインは歩き始め、俺も後ろを付いて行く。

「銀の時代は2割、黄金の時代は7割、銅の時代は1割といったところかね。金銀銅が何を表すのかは言うまでもないのだがね」

「やたら偏っているな」

「そこが面白いところでね。黄金時代はほとんどの細胞が衰えないままで保存されるあくまで身体的な老化においてだが」

精神面の老化は仕方がない。

長生きしすぎて、色々なものを見すぎているからな。

目新しいものがなく、世の中のものに興味を失せていく一方だ。

「しかし、生き物である限り、不老不死ではない。いつかは老化が起こり終焉を迎える」

ジジイの老化現象は始まっているというわけか。

残り1割の余生か。

1割がどれほどの長さかは個人差があるだろうが、黄金時代よりは断然短い。

なら、お吟さんは?

ジジイの嫁ならば、老化が始まっていてもおかしくはない。

老化を抑える術でも使っているのだろうか?
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