妖魔04~聖域~
廊下を歩いていると、前方から何人かの女や男が来るのが見える。

数字がかかれているところ、契約妖魔だという事がわかる。

数字が書かれていないのはチューナーだろう。

「新たなるチューナーよ、契約を果たす前にナンバー00のコアを渡しなさい」

「まだ、契約を果たしていないのか」

コアを体内に入れただけでは、契約を果たしたことにはならないのか。

通りで、気分が悪いわけだ。

しかし、行列まで作って、そこまでナンバー00を解放したくないのか?

知らせたのはラインか。

それとも、ガラスを割ったから連絡が行き届いてしまったのか。

前にいる契約妖魔が邪魔で、感動のシーンを迎えられねえじゃねえか。

「うお」

更に、目眩は大きくなりついには膝をついてしまう。

「く、呪いよりは楽なんだがなあ」

しかし、体の負担は大きく、嘔吐感に見舞われている。

脳に魔力が行き届く現象なのか。

俺の暴走まで間もないのか。

『お星様が見えなくなる』

「まだ何も出来てねえよ」

目の前が暗くなる。

「手放したくないというのであれば、あなたを解体して取り出すだけです」

死を運んでくる敵の足音が近づいてくる。

「博士の努力を無駄にはしたくありませんが、余計な物を起こされては困ります」

首筋に当てられた敵の刃。

数ミリでも動かせば俺の意識は常闇へと落ちるだろう。

「こんな時代に介錯か?そりゃナンセンスだな」

「従う気はない、そういうことでいいですね?」

「ふざけんじゃねえ、ボケ!」

「終わりにしましょう」

手に持った刃を振り上げる敵。

『光に踊るは異界に落ちるお星様?それとも、異界を目指す人形?光に踊るは二人、温かい世界で二人楽しく踊る』

目の前の暗闇が灯された光によって吹き飛ぶ。

光の先に一人の裸の女性の姿が見えた。
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