妖魔04~聖域~
肩まであるブロンドの髪、見つめる翡翠の眼差し、艶やかなピンクの唇。

ニコリと微笑むと光へと消えていく。

意識が現実に戻ってきた。

今なら目の前に迫る刃を避ける事が出来る。

「まさか、契約を果たしてしまったのですか」

先ほどまでは前に誰がいるのかわからなかったが、今は鮮明と見える。

持った刃に女が力を込めて下ろそうとしているが、自分はバックステップで回避する事が出来た。

自分の身に何が起こっているのか解らない。

ただ、驚きの表情と怯えの声がところどころにある。

「ゲロ吐きそうになったのが嘘みたいだぜ。これがハイってやつか」

立ち上がり、周囲を確認する。

「ざっと20ってところか」

敵の数が簡単にわかってしまう。

感覚が鋭くなっているのか。

『王子様、世界を見たい』

「絶対、見せてやる」

閉ざされた出口をこじ開けるために、敵の中に一気に突っ込む。

いつの間にか、ガントレットを装着した腕が青い光を灯している。

「加減するつもりはねえぜ」

「変身したからといって調子に乗るな!小僧が!」

目前には契約妖魔と同化した男のチューナーがいる。

腕の先に大きな丸い鉄球をつけており、それを前に押し出して俺を潰そうとする。

速さから言えば、避けることは容易い。

サイドステップで避け、拳を腹に叩き込む。

更に、怯んだ隙に蹴りを突き出して後ろへと吹っ飛ばす。

男は巨体なだけあって、背後にいた敵も巻き添えをくらう。

首に刃を突きつけた女の前までいくと、女が長剣を突き刺そうする。

「敵なら、女でも叩くぜ」

タイミングよく側面に拳を当てると剣が折れ、勢いを殺さず相手の胸に掌底を打ち込む。
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