妖魔04~聖域~
「アチシに不可能はないアル」

お吟さんは掌で揉む仕草を見せている。

「全世界の床に悩む男性には嬉しい情報だが、理由になってない」

「全てに理由なんかつけたら面白いものも面白くなくなるアル。波〇拳に理由があると思うアルか?」

「そりゃそうだが、お吟さんの事は何でも知りたいというか」

積極的に言わない限り、お吟さんは答えてくれなさそうだ。

「可愛い奴アルなあ。傷口に塩を塗りこみたいアル」

「本当の事だ。まだまだ知らないことが多い」

何百年と生きてきた、ほんの一部しか知らない。

『王子様、薔薇の香りに溺れてる』

「お吟さんといる事は夢のような時間といっても過言じゃない」

俺にとっては現実であり夢の世界でもあった。

『目の前にある楽園が王子様の帰る場所?』

「ああ」

『王子様、ワタシにも帰る場所は在る?』

「ロベリアが安らげる世界が帰る場所だ」

名前はお吟さんの命名したロベリアで通す事にした。

しかし、今は決して安心できる状態ではない。

自分の世界で色々と模索していると、隣にお吟さんが立っている。

「仕方ないアルな。アチシの能力が何枚か向こうを視るということは知ってるアルな」

「知ってる。それがあるから今の俺がここにいる」

島で俺に腕を突き刺した。

あれはコアを発動させるために、お吟さんが魔力を送ったのだ。

コアが心臓付近にあるために、場所がずれると本当に死んでしまう事になっていた。
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