妖魔04~聖域~
「透視は目だけにあらず、耳も何枚か向こうのものを『聴く(みる)』ことが出来るアル」

最強の中の最強といってもいい能力だ。

お吟さんの身体能力とあわせれば、相手の弱点を見つけて一気に殲滅する事が可能なのだ。

「心の中の考えまでもか?」

「そこまでの千里眼はないアルな。でも、ロベリアの波長はビン勃ちくらいに大きいからノイズがかかり気味で聞こえてくるアルよ」

「幽霊の声とかも聞こえてきたりするのか?」

「解放すればたまにあるアルな」

亡霊など、あまり好ましいものではない。

「なら、少しでもこいつの話相手になってくれればいいもんだ」

「えー、女の話相手アルかー」

面倒くさそうな顔をしている。

あれだけ龍姫には懐いているのに、他の女には興味を抱かないのか。

初対面だからなのかもしれないな。

「特殊な能力を使わなくても問題はない」

ラインが、出会った時に見た女性を連れて出てくる。

ナンバー01と呼ばれた女性だ。

まるで日本人のような黒い髪、赤い目、小さな口。

胸は大きい方だろう。

ナンバー01が肩に乗せて運んできたのは、女性の体。

「おいおい、死体でも運んできたのかよ」

「似たようなモノだよ」

地面にシートを敷いて、女性を横たわせる。

一体、何者なのか。

どこしら、光の中で見た彼女の像に似ているような気がする。
< 85 / 330 >

この作品をシェア

pagetop