妖魔04~聖域~
「一体、何だ」

「この眼鏡では世界の裏側が見える。眼鏡で確認する事が出来たのならば、物にも触れる事も出来る」

眼鏡とコアの存在を前々から知っていたかのような言い方だ。

「あれが隠された物か」

「正常な世界になくてはならない扉が裏側に存在するということは、誰かが意図的に隠したということになる」

勝手に、長い説明を一通り終わらせた。

「わざわざ面倒なことをご苦労なことだ」

「お前の頼みだからな」

「頼んだ覚えはない」

「そういうな。私はお前が好きだぞ」

「テメエ、それを言わなくちゃ気がすまないのか?」

「そうだ。刃への愛の言葉を一日に五万回言わなければ気がすまない」

燕を放置して鉄の扉に手をかける。

ひんやりとした手触り、触れただけで重量感が伝わってくる。

扉の向こうには何があるのか。

古代コアがあるというのは確実だろう。

だが、封印されているだけあって、用意されたプレゼントはそれだけではない。

鬼や蛇が出るかもな。

外界に出るためには開けなければならない。

「ん?」

開かない?

何度押しても引いても、開くことはない扉。

「詐欺か?」

「残念だったな。扉には鍵が必要だ」

「テメエ、知ってたのか?」

外で待っていたのは理由を教えるためか?

「古代コアに憧れて、一人で行こうなんて考えたこともない」

「欲丸出しだろうが!」

ロメロスペシャルをかけて関節を痛めた後に燕を放置する。
< 9 / 330 >

この作品をシェア

pagetop