妖魔04~聖域~
更に言えば、自分のために仕事を用意してくれた人の事を疑うなどあってはならないと思っていました。

姉は男についていき、そこから日常が変わってしまいます。

男に連れてこられた場所、そこは色々な女性が殿方のために奉仕するという娼婦の館でした。

姉は逃げ出そうとはせず、労働する事を決心します。

本来、近づきもしない場所ですが、自分でもやっていけると人とは変わった考えを持っていたのです。

妹は、人当たりがよく要領もいい性格をしています。

姉と同時期に仕事を探し始め、早く見つけることが出来ました。

妹は普通の仕事を上手くやっていきます。

すぐに仕事仲間を増やしていきました。

しかし、お喋りする相手よりも姉の様子が気になって仕方ありませんでした。

彼女は姉の事を誰よりも知っているつもりでした。

右に出る者はいないと自負するくらいでした。

彼女の心配をよそに姉は遅く帰ってくるようになりました。

妹は姉が仕事を見つけたと安心しました。

でも、心配事が一つだけありました。

何故、自分よりも遅いのか。

ほとんどの仕事は日が暮れれば終わるはずです。

姉に聞いても心配する事はないの一点張りでした。

そして、日が経つごとに、姉妹達の生活に潤いが出始めました。

姉妹で普通に労働したとしても、溜まるはずのない溺れようです。

妹は不思議に思い始めます。

愛する姉が何をしているのか知りたくて知りたくて仕方ありません。

日々、問い詰めても姉は口が固く、鋼鉄の扉のごとく開くことはありませんでした。

そんなある日のこと、職場で仲間から噂を聞きます。
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