妖魔04~聖域~
「姉さん、悪いけど調べさせてもらうよ」

姉の全てを知りたいという願望は大きくなって、行動を取ることになりました。

翌日、彼女は体調が悪いと嘘をつき、姉の後を追います。

姉が歩いていくのは、予想通りの売女なる道なのか。

それとも、予想を裏切る聖女なる道なのか。

真実は彼女が残していく道筋だけでした。

姉は村の外れへと歩んでいき、妹は心細く不安になっていきます。

周囲にいるのはタトゥーを背負った怪しい男達、淫らな恰好をした女達。

一人一人が珍しいものを見る視線を妹に当てています。

自分がこのような場所に来るなどと誰が考えたでしょうか。

姉に近づきすぎたので、立ち止まると男が声をかけてきます。

「お嬢ちゃん、おじさんと遊ばなーい?」

「あんた邪魔。デカブツと遊んでる暇はないの」

不安を打ち消すように強気の台詞をぶつけます。

「声が震えてるよ。子猫ちゃん」

妹に腕が近づこうとしたところで、横からそれを掴む人影が現れます。

金色の髪に、背丈は妹よりも低い少年でした。

「君のような粗暴な人間が真実への扉を閉じてはいけない」

冷静な声で、男の道を塞ぎます。

彼は村で見かけた事がなく、男には敵わぬ姿をしています。

しかし、どこか怪しい顔つきが大人びています。

「何だ、てめえ!」

「どの時代も蛮族は存在しているようだ」

男は少年の腕を振り払おうとしますが、手が離れる事はありませんでした。

「だがね、君は非常に運がいい。私と出会ったことにより、体験できないような世界を巡れるのだからね」
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