妖魔04~聖域~
白い服を着た少年は、増援の男達に囲まれてしまいました。

妹は戸惑いを隠せず、うろたえてしまいます。

「君たちは欲深い人間だね」

「バラすぞ?」

「私は正義の味方ではないが、真実を追究する人間に対しては優しくなれるのだよ」

「大人をからかうとどんな目にあうか、体に教えてやる」

男達の手にはナイフや剣などの武器が所持されています。

「君の真実はそこにある。蹲って震えて見逃すつもりかね?」

少年は妹の行動を見抜いているような素振りで、促しているようでした。

少年のことも気になりましたが、今見逃しては後がないと思いました。

姉の姿は小さくなっており、見失いそうになっています。

「ありがとう」

必死に追いかけて、たどり着いたのは一つの館。

姉は戸惑う事なく、その中へと入っていきました。

しばらくすると、出入りするのは男達、女の姿も稀に見かけられました。

妹はすでに確信に至ってしまい、希望は打ち砕かれました。

姉は道を誤り、堕ちてしまった。

姉の蛮行は神の道から外れた行為。

喪失感を得て、崩れてしまいます。

しかし、夜になれば身の危険は濃くなると判断し、家へと引き返すことにしました。

帰りの道筋で、男達の姿と少年の姿はなくなっていました。
< 95 / 330 >

この作品をシェア

pagetop