【詩集】タイムマシンの作り方

はじまり




特別な何かが
あったわけじゃないし
着飾りたかったわけでもない

あなたが口ずさんでた
リズムの海に
沈んでみたかっただけ


見栄と弱さを綴った歌が
喉の奥でひっかかったままで
いつも怯えていた

世界を皮肉る術を覚えて
唸る 猛る ふりをした

ビビットカラーの鎧を着込んで
とにかく鋭く 火をくべて
馬鹿のふりを するふりをした



時々溢れる淡い歌詞は
爆音で押し込んで

甘さを閉じ込めた喉が痛むなら
毒薬を飲み込んで流す


飽和して割れたガラス瓶
引き裂く欠片で切った指先

捨てられず隠した甘いあの歌

あなたは気付いて
歌ってくれた

淡い色が素敵だよって
認めてくれた

とてもとても嬉しかった

その言葉で空も飛べた



そう
歌い始めたのは
あの人の歌に
合わせたかったから

いつか聞いたあのリズムが
街角で聞こえた気がした




【届いた?】


あなたの歌が好きです
あなたのリズムが好きです
あなたの言葉が好きです




つまりは、リスペクト!



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