【詩集】タイムマシンの作り方

僕は石ころ



色がくすんだ赤いポストは
やっぱり今日も
あの交差点に立っている

キミのタバコが浮かんでくる
隣のジジイから
同じ煙の匂いがした


青信号 進め、世界


空は遠く青い 遠く青い
ぶちまけた色の上
一点 あの雲は邪魔だろう

君ははやく
そこを退いたほうがいい
そのほうがいい


進む道の上
はやく石を避けるスキル
有り余るほどにあったって
僕には足りないくらいさ

「完璧ではないよ」

ディスプレイが歌う
顔の良い奴らの陳腐なうた

「それでもいいよ」

いいわけないだろ
あの子を守るために
完璧でいなくていいわけ
妥協してもいいわけ
ないだろ

いいわけないだろ


君の道の上の石は
僕が壊して進むから

だから君は笑っていて
僕はそれでいい それがいい


僕が石に見えた日に
僕を壊して
僕が退けていった

妥協はしない
君のために全力で生きるだけ

石が邪魔だった
それだけ


僕のために君は泣いた
僕のために僕は泣いた






【君>>>>君を好きな僕】




「一緒にいたら君がダメになる」




好きだから、離れたい。


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