たった一人の… 【短編】
私はいつの間にか 琉聖の家で暮らすようになっていた。
琉聖の家族も、私を本当の家族の様に可愛がってくれていた。
私は毎日が楽しくて、幸せで何も言う事はなかった。
そんなある日、私の後輩が琉聖の事を悪く言っているという噂を聞いた。
私は確認する為に、後輩を呼んだ。そして開き直ったように話をする 後輩を前に 私の中の何かが音を立てて崩れた。
パチンッ…
『イッタィ…』
羅『琉聖の事を悪く言う奴は、誰だろうと絶対に許さない。』
私は無我夢中で後輩を殴った…。
それが琉聖の為になる訳ないのに。
そんな事もわからないで、私はひたすら手をあげた。
数日後…。
琉『羅依さぁ、後輩に手あげただろ?』
初めて見る琉聖の怒った顔。いつもの優しい笑顔はどこにもない。
羅『だって…あの女が…』
私は琉聖が傷つくのを恐れ 本当の事を言えないでいた。
バンッ!!
顔を上げると 壁に穴が開いていた。これは琉聖が殴った跡だ…。
琉『俺、手あげる女嫌いだから。別れよう。』
えっ…?
今なんて言ったの??
琉聖がそんな簡単に別れるなんて言う訳ないよ…。