たった一人の… 【短編】

私を乗せた車は、あっという間に私の実家に着いた。

羅『琉聖…ごめんなさい。』

琉『羅依…』

羅『な…に…?』

琉『…ううん。なんでもない。着いたぞ。』

羅『うん、ありがと…。』

私達の間に『またね。』という言葉は交わされなかった…。

私は部屋に入ると布団に潜り込んで 泣いた…。

この部屋にも琉聖との思い出の写真が貼られている。

そしてこの布団にも琉聖の温もりがまだ残っているような気がした。

どれくらい泣き続けただろう…。私は鞄の中から携帯を取り出して 時間を見た。

琉聖と別れてから5時間が経っていた。

人の涙が枯れる事を知らないという事を、私はこの時初めて知った。

♪〜

すると、携帯が鳴った。

『明日の朝迎えに行く。荷物あるだろ。』

と書かれていた。

私は『わかった。』とだけ返信した。

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