たった一人の… 【短編】
第四章…命
夏も終わりに近付いた8月。
私達は相変わらず毎日仲良く暮らしていた。
ただひとつ変わった事は、琉聖が親と喧嘩をして私の実家で暮らしていたという事だけ。
羅『最近なんか調子悪いんだよね…。夏バテかな?!』
琉『病院に行ってみようよ。』
私はこの頃、毎日体がだるくて 何もする気になれなかった。
二日後…。
『早瀬さ〜ん。早瀬羅依さん。』
私は琉聖と一緒に病院にきていた。
先『おめでとうございます。妊娠二ヶ月です。』
えっ…妊娠…?
私はベットの上に横になると、超音波で子宮の様子を見せてもらった。
先『真ん中の黒い小さなマルがあなたの赤ちゃんです。』
羅『私の…あ…かちゃん…。』
先『そう。あなたの赤ちゃん。』
私は自分のお腹に手をあてた。
まだ動かないけれど、確かにここで私と琉聖の赤ちゃんが生きてる…。
先『どうしますか?』
羅『私、産みます。』
先『じゃあ紹介状を書きますから、大きい病院に行ってくださいね。』
羅『はい。』
私は診察室を出ると、赤ちゃんのエコー写真を持って、琉聖のいる所へ向かった。