たった一人の… 【短編】
『お邪魔しまぁす。』

琉『みんな寝てるから、挨拶なんかしなくていいよ。』

確かに今は夜中の3時。普通の人はとっくに寝ている時間だ。

琉『適当に座って。』

私と楓は、琉聖君の部屋のソファーに座った。

初めて入る彼の部屋はとても綺麗にしてあった。

そして綺麗にかけてある特攻服。

琉『俺も誰か呼ぶよ。』

そう言って、琉聖君は誰かに電話をし始めた。

数十分後…

『どうも〜。』

部屋に入ってきたのは、私も知っている後輩の優太だった。


私達四人は、朝まで飲んだ。

私はお酒は結構強い方だったけど、バイトでも飲んでたせいか さすがに酔ってきた。

ふと隣りを見ると、楓と優太はいつの間にか寝ていた。それもピッタリとくっついて…。

私は琉聖君を見た。

彼も私を見ていた。

緊張して目がそらせない…。

琉『羅依、こっちおいでよ。』

…えぇ〜!!!

そんな動揺を必死で隠して、私は少しだけ琉聖君の方へと近付いた。

ドクン…ドクン…

………。

琉『なんか久しぶりだな。』

羅『うん。』

琉『俺さぁ、あいつと付き合う前から、羅依の事知ってたんだ。』

羅『えっ?』

琉『羅依がまだ高校行ってた時だと思う。駅前でさ、俺の先輩達と一緒にいた時に、たまたま通りかかって見たんだ。』

羅『そうだったんだ…。ゴメンネ。私、全然記憶にない……』

琉『だろうね。』

そう言って、優しく微笑む彼に、私はもう引き返せない程恋に落ちていた。

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