◇◆あじさい◆◇
『お前も もう帰れ。まだ明るいから、送らなくても平気だろっ?』



帰ってくれと言わんばかりの冷たさから、どことなく、とっつぁんの見えない気持ちが見えた気がした。



私は黙って部屋を出た。



とっつぁんが追い掛けて来てくれないかと、ほんの少しの期待を胸に。



だけど、
家に着くまで何度も振り返る後ろに彼の姿は無かった。




胸が苦しくて、苦しくて。



私は答えを出せずにいた。



私が好きなのは、


裕介なのか


とっつぁんなのか。





…私には、選べない…。
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