◇◆あじさい◆◇
『…その相手もね、母さんの事、真剣に考えていたんだと思う。だけどね、ご両親が認めてくれなかったんだな。』



『…そう…なんだ…。』


私は少し、後悔した。母の悲しい過去を聞き出してしまった様で、胸が苦しくなった。



『…母さん達には、どうしようもなかった…。やがて、相手の人は、親が決めた女性と一緒になった…。

時代の流れってもんだなぁ…。』



私は何も言葉を返せなかった。




『…親友…だったんだ…。』



父の言葉に目を丸くした。


『…父さん、一目見て、母さんに惹かれたよ。

親友の大切な人だと分かっていてもね…。』



父は、ゆっくり話を続けた。
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