◇◆あじさい◆◇
『父さんは、ずっと言えなかった…。二人がどれだけ惹かれ合っていたか、1番知っていたからね…。

二人がどうもがこうと、どうする事もできない状況ではあったけれど、父さんにはどちらも大切な人だったから。

結婚が決まってすぐ、
親友が父さんに頼み込んできた。


「どうか、彼女を幸せにしてやってくれないか?」と…。


きっと、父さんの気持ちに気付いていたんだね…。


見知らぬ他の誰かと結ばれる事を拒んだのかもしれない。


父さん…、親友と約束したんだ。

だから、母さんに何度も何度も結婚を申し込んだ。

無理を承知で何度もね。』


『…お母さん、なんて?』
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