◇◆あじさい◆◇
『…うん。何度も断られたけれど、父さんは、毎日毎日会いに行ったんだ…。
母さん、言葉すら交わしてくれなくなったよ…。
そうして、1年程経った頃か、母さんに見合い話があると聞いて、父さん自信を無くしてしまったんだ。
急に、母さんの元へ行くのをやめてしまった…。
そしたらね、
母さんの方が会いに来てくれたんだよ。
綺麗な着物を着て走って来たんだ。
「どうして来てくれないの?」って…。
お見合いを抜け出して来たんだとすぐに分かったよ。
あんな綺麗な母さん見たのは初めてだった…。』
私は、父の母への想いが伝わり、涙が出そうになった。
『時間はかかったけれど、親友にも祝福されて、父さんは母さんと結婚をした。
風花…。
父さんは、少なくとも、親友から母さんを奪ったとは思ってないよ。
じゃなかったら、
あの日、母さんは父さんの所へは来ていない。
父さんの想いが、母さんに伝わっていたからだと、今でも、そう…信じている。』
『…ぅん。…ぅん…。』
私は何度も頷いた。
私も、そう思うから…。
『…さぁ、風呂でもわかしてくれないかぁ?なんだか急に、恥ずかしくなってきたよ。』
父は髪をかき揚げながら笑った。
『うん。今わかすよ!』
私は席を立つと台所を出た。お風呂場で蛇口をひねりながら、心が温かくなっているのを感じていた。
母さん、言葉すら交わしてくれなくなったよ…。
そうして、1年程経った頃か、母さんに見合い話があると聞いて、父さん自信を無くしてしまったんだ。
急に、母さんの元へ行くのをやめてしまった…。
そしたらね、
母さんの方が会いに来てくれたんだよ。
綺麗な着物を着て走って来たんだ。
「どうして来てくれないの?」って…。
お見合いを抜け出して来たんだとすぐに分かったよ。
あんな綺麗な母さん見たのは初めてだった…。』
私は、父の母への想いが伝わり、涙が出そうになった。
『時間はかかったけれど、親友にも祝福されて、父さんは母さんと結婚をした。
風花…。
父さんは、少なくとも、親友から母さんを奪ったとは思ってないよ。
じゃなかったら、
あの日、母さんは父さんの所へは来ていない。
父さんの想いが、母さんに伝わっていたからだと、今でも、そう…信じている。』
『…ぅん。…ぅん…。』
私は何度も頷いた。
私も、そう思うから…。
『…さぁ、風呂でもわかしてくれないかぁ?なんだか急に、恥ずかしくなってきたよ。』
父は髪をかき揚げながら笑った。
『うん。今わかすよ!』
私は席を立つと台所を出た。お風呂場で蛇口をひねりながら、心が温かくなっているのを感じていた。