◇◆あじさい◆◇
私が沙織の手を描き終える頃、1限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。



『ねぇ、風花ぁ。
…アタシね、卒業したら…就職して、お金貯めて、いつか和也と結婚できたらいいなぁ…って思ってる。』


沙織がそんな風に、和也への想いを私にクチにしたのは初めてだった。



『えっ!?
どうしたの沙織…?』


私は、急にそんな事を言い出した沙織に少し驚いていた。



『ん?
…あのね、アタシ本当は、ずっと和也の事好きだったんだぁ。中1の時、初めて隣の席になって、「よろしく」って言われた日から、ずっと…。』


沙織は、いつもになく素直だった。


『本当ぉ!?
アタシそんなの全然気付かなかったよぉ…。』



『ふふっ。
3年だよ!3年!あんだけ一緒に居て、ずっと片思いだって思ってたぁ…。』
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