◇◆あじさい◆◇
私は、さっきの和也の話の後で、裕介に何から話せばいいのか、言葉を選んでいた。


先にクチを開いたのは、
裕介の方だった。



『なぁ風花…?』


『んっ?』


『よぉ〜く見ろよ?』


裕介はポケットから何かを取り出すと、ポ〜ンと、空へと飛ばしキャッチした。

『どっち?』


裕介は、両手をグーにして突き出した。


どちらかを選べと言うのだ。


『…なに?』


『いいからっ!』



私は、裕介の両手を見つめると、彼の左手を指差した。




『ほんとに?』


裕介は聞き返し、私はコクリと頷いた。



裕介は、私が指差した手を、ゆっくり開いた。



その手の中には、





何もなかった…。
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