◇◆あじさい◆◇
私は、裕介の顔を見上げると、笑顔で右手をそっと開いた。




その手の中にあったもの…。




私は、一目でそれが何なのかが分かった。





『…いつか、

お前に渡し損ねた第二ボタンだ…。


まぁ、「くれ」とも言われなかったんだけどなっ。』


裕介は、弱々しく笑うと、そのボタンをポケットに戻した。



『…あん時、無理にでも渡しとけばよかったのかなぁ…。

馬鹿だよなぁ〜。



もしかしたら…、

いつかお前が、
本当に俺の事を見てくれるかもしれないって、そん時は今度こそ、ちゃんと渡そう…って。

でも渡せなかった。

いつまで経っても、どんだけ一緒にいても、

お前の気持ちは、俺のトコには戻らなかった…。



誰にでも優しいんじゃ、どぉ〜しよ〜もないんだなっ。』




『…ゅうすけぇ…?』
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