◇◆あじさい◆◇
とっつぁんママは、店を開けるため、いつも6時半には病室をあとにする。



それから、面会時間が許すまで、私はできるだけ彼の傍を離れなかった。





そんな私に、とっつぁんは罪悪感にも似た思いを抱いていたのかもしれない。




『…風花ぁ。』



『…ん…?』



『…お父さん…。

大丈夫か…?』



『…どうして?』



『寂しんじゃねぇ?

…俺、

お前を独り占めしてるみてぇ〜で、

なんかぁ…、なんつ〜かぁ…。』




とっつぁんは、父の事を想い、遠回しに家に帰る様伝えた。


面会時間終了まで、

後1時間…。




『…でもアタシまだ此処にっ…』


とっつぁんは、優しく私の頭を撫でた。



『…明日また、待ってるよ…。』




私はその日、自分の気持ちを抑えつつ、病室をあとにした。
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