◇◆あじさい◆◇
あの日、祐介は「できもしないのに勉強しない!だから駄目なんだ。」と母親に言われ、「参考書でも買ってこい」と、1万円を投げ付けられたそうだ。


祐介の気持ちは言わなくても伝わってきた。どうして、あの優しい祐介が、あんな行動をとったのか、少し分かる気がした…。



もちろん、そんな事をしたのは初めてで、あからさまに挙動不振であったのだろう…。店員に呼び止められる祐介を見て、男女のグループは一目散に出口へと走り、姿を消したそうだ。


店員が仲間だと勘違いしてもおかしくない状況だ。



祐介は「自分1人だ!」と何度も訴えたが信じてもらえず、両親が迎えに来ても目に入らずに、ただその事を訴え続けたと言う。



後で私達が仲間だと認め、謝罪した事を担任から聞かされた祐介は、目に涙を浮かべ私達に深々と頭を下げた…。



その時、
言葉は無くとも、私達の心は強い絆で結ばれていた。
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