【短編】プロポーズはバスタブで。
「ヒントって・・・・あんた、まさか知ってんの? 孝明が変な理由」
「んー? さぁねぇ」
「すっとぼけないでよ!知ってんでしょ!? 見ての通り何日もまともに寝れてないの、あたしを助けると思って教えて!! ねぇ!!」
「んもー、知らないってば!!」
探るように聞いてみても、確信を持って聞いてみても、当の沙織は取り合ってくれない。
それどころか。
「はい、コレ。ヒント!」
「でっ!!」
書き終わった紙をあたしのおでこにベシッ!・・・・叩くように押しつけると、お尻をプリプリ振りながら社員食堂を出ていった。
怒ってらっしゃる、沙織サン。
あたしがあんまり声を張り上げるから、モタモタしているから、きっと沙織は呆れちゃったんだ。
ああ、絶対、問題が解決したらあとで何かおごらされるな・・・・ヒント料よ!とか言われて。
「そういうトコ、短気よね」
ポツリ。
つぶやいて、仕方がないのでおでこに張りついたままだったヒントの紙を見てみる。
理由を知らなきゃヒントの出しようがないものね。