【短編】プロポーズはバスタブで。
鋭く言う孝明に笑ってごまかす。
ワンテンポずれていてもちゃんと実感しているんだから、そこら辺は大目に見てほしいトコだわ。
とは言えないから、ヘラヘラ笑って指輪と孝明を交互に見た。
その直後───・・。
「ひゃっ!!」
急に手が伸びてきて、再びあたしは孝明の膝の上に乗せられた。
それから孝明は、ほの暗いバスルームの中でも分かるくらい顔を赤くして言ったの。
「なぁ、結婚・・・・しよっか?」
あたしの涙を唇でそっと拭って、一目で恋に落ちたときと同じ爽やかな笑顔で見上げて。
返事はもちろん決まっている。
孝明以外の人のところには、お嫁に行ける気がしないもん。
いつものホテルの、いつものバスタブ、そこに響くのはいつもあたしの甘い声だった。
けれど今日は、彼の甘い囁き。
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