【短編】プロポーズはバスタブで。
「・・・・で、ヒント料とやらはいくらで片がついたの?」
孝明が、あたしの髪を撫でながらニヤニヤ笑って聞いてきた。
その顔に無性に悔しくなったあたしは、クルッと体を回転させて背中を向けてボソッと答える。
「3万7千円。家族サービスだって言って、政伸さんと美雨ちゃんの分まで高級寿司を奢らされた」
「ブハッ・・・・!!」
「笑い事じゃないよぉ!! あたしのお嫁貯金が沙織一家に食べられちゃったの!痛い出費よ!」
孝明まで失礼だよ!
とブツブツ文句を言いながら、布団の中でキュッと丸くなる。
すると・・・・。
「ごめんごめん。予想以上に高くついたなと思って。お嫁貯金を崩したのか、それは痛かったな」
そう言って、あたしの体に優しく腕を回した孝明は首筋や耳にキスを落としはじめた。
それから耳元で甘く囁く。
「でも大丈夫。お嫁貯金なんかなくてもヒカリのことは一生食わせてやるから。・・・・てか、その前にもう一回食べてもいい?」
「あたしを?」
「ダメ?」
「・・・・いいよ」
「ヒカリ、愛してる」
「あたしも」
- END -