PRINCESS story

「琴葉…腕…」


俺がそう小さな声で呟くと、またも琴葉は笑顔で言う。

「大丈夫。心配しないで」


とはいえ、アレルギーなら無理して抱くことないのに……

しかも、琴葉はエレナ夫人に気付かれまいとして、赤くなった部分を見せないようにしている。


「俺が抱くよ」

俺はとりあえず、そう言って琴葉から猫を離した。


そして一言、素敵な猫ですね、と感想を述べてから、猫をエレナ夫人に返した。


エレナ夫人はなんだか満足気な表情だ。


< 100 / 399 >

この作品をシェア

pagetop