PRINCESS story
「琴葉…腕…」
俺がそう小さな声で呟くと、またも琴葉は笑顔で言う。
「大丈夫。心配しないで」
とはいえ、アレルギーなら無理して抱くことないのに……
しかも、琴葉はエレナ夫人に気付かれまいとして、赤くなった部分を見せないようにしている。
「俺が抱くよ」
俺はとりあえず、そう言って琴葉から猫を離した。
そして一言、素敵な猫ですね、と感想を述べてから、猫をエレナ夫人に返した。
エレナ夫人はなんだか満足気な表情だ。