PRINCESS story
車が見えなくなり、俺は早く琴葉を宮殿の中に連れて帰ろうと思った。
しかし、俺たちはこの後、報道陣から囲み取材を受ける予定がある。
どうするかな……
俺のそんな心情を察してか、琴葉が言う。
「私、本当に、大丈夫だよ」
そう言ってはいるものの、明らかにさっきより激しく咳き込んでいる。
「琴葉、取材は俺だけが受けるよ」
俺がそう言っても、琴葉は首を頑なに横にふった。
「でも……」
こんな会話をしているうち、気付くと俺たちは報道陣に囲まれていた。