PRINCESS story
「琴葉、戻ろう」
そう声をかけると、琴葉は頷いた。
俺たちは報道陣に頭を下げた。
カメラを意識してなのか、宮殿までの道のりを琴葉はしっかりとした足取りで歩いている。
しかし、宮殿に入るとすぐ、その場にしゃがみこんだ。
激しく咳き込み、苦しそうに胸を押さえている。
「琴葉!琴葉…」
予想外の状況にどうすればいいか分からず立ち尽くす俺に、河西さんが叫ぶ。
「王子は、姫をお部屋に!私はお医者様を呼んで参ります」