PRINCESS story
「あの、王子…」
「…どうかしましたか?」
俺がそう尋ねると、河西さんが頭を下げながら言った。
「私の不注意でこんなことになってしまい、申し訳ありませんでした。
もし、もう少し処置が遅ければ、とても危険な状態だった、とお医者様が…」
そんなに危険な状態だったのか?
「姫が重度の猫アレルギーだということを私は存じ上げておりました。
にもかかわらず、止められなくて…こんなことに…
お医者様は、もしまた同じようなことがあれば…」
河西さんは続きを言うのをためらった。
「もし、あったら……?」
「…姫の命に関わるだろう、と」