PRINCESS story
志保さんの部屋を出た後も、志保さんの悪魔のような表情と冷たい声が頭から離れなかった。
「姫……どうされるおつもりですか?」
中の会話の一部が外にいた翔子さんにも聞こえていたらしく、心配そうに私の顔を覗き込む。
「どうしたら良いか分かりません。
だけど翔子さん、今日のこと、奏斗には絶対に言わないでください」
奏斗に余計な心配はかけたくない。
「しかし、もし、姫になにかあっては困ります…」
「ありがとう。でも、私なら大丈夫。
これくらいの壁、自分で乗り越えないといけないんです」