PRINCESS story
「奏斗は……今も沙穂さんを…?」
できれば、違うって言ってほしかった。
でも………
「今も恋愛感情なのかは分からないけど、やっぱり奏斗にとって、沙穂ちゃんは特別な存在なんじゃないかな?」
「特別な……存在…」
気付くと、抑えていた感情が一気に涙となって私の目から溢れだしていた。
「琴葉ちゃん?大丈夫?」
「大丈夫です……ほんとに、大丈夫」
そうは言ってみたものの、一度溢れだした涙は止まらなかった。
「和也さん…ありがとうございました。
私、そろそろ戻らないと…
……おやすみなさい」
私は無理矢理な笑顔を作り、逃げるようにテラスをあとにした。