PRINCESS story
これ以上奏斗と話していたら、沙穂さんのことを口にしてしまいそうだった。
「ごめん……1人にして」
困惑する奏斗にそう言って、私は部屋へと戻った。
1人になっても、涙は止まらなかった。
胸が痛くて、苦しくて、どうすることもできなかった。
奏斗の気持ちが私に向いてないことくらい分かってたけど、心のどこかで、いつか奏斗も私を好きになってくれると思ってた。
だけど、無理なんだね。
奏斗には、今も想い続ける大切な人がいるから……