PRINCESS story
一瞬、兄さんの表情が変わった気がした。
「奏斗、沙穂ちゃんが大切なのはよく分かるよ。でも、そろそろ現実を見ろ」
「現実って…」
「沙穂ちゃんはもう長く生きられない」
「兄さん、何言って…」
「事実だろ?それに、今のお前には琴葉ちゃんがいる。
琴葉ちゃんに、少しだけ目を向けてあげてくれないか?」
琴葉に目を向ける?
「兄さんにそんな事言われる筋合いない」
「あるよ。
俺は、お前とも琴葉ちゃんとも家族だ。彼女がどんなに悩んでるかも知ってる」
「兄さん、さっきからなんなんだよ。
説教?俺にどうしろって言うんだよ?」