PRINCESS story

「奏斗……今日も来てくれたの?」

ベットに横たわったまま、沙穂が言う。


そう、今日も俺は沙穂の入院している病院に来ている。


「まったく、奥さんのこと家に一人ぼっちにして。そんなんじゃ、嫌われるよ?」

「琴葉は、そんなやつじゃないよ」


「そうなの?」

「琴葉は、優しいから。分かってて、何も言わない」


そう、何も言わない……

だけど、きっと一人で傷付いてる…


ぼーっとそんなことを考えていると、沙穂が突然、真剣な表情で言った。


「奏斗…私の、最後のお願い、聞いてくれる?」


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